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リレーエッセイ ヨーグルトマン

視覚障害女子マラソンの道下美里さん。どんな声援が嬉しいですかとの問いに道下さんは、自分への声援も嬉しいけれど、ガイドランナー(伴走者)に頑張れと声を掛けてくれることのほうがもっと嬉しい、とコメントされていたのをたまたまテレビで見て、なんて素敵な考え方をする方なんだろうといっぺんにファンになりました。

陸上競技におけるガイドランナーと呼ばれる人たちの役割は、視覚障害の選手の「目」になることが主な目的で、「頑張れ」と選手を励ましたり鼓舞したりすることをしてはいけないそうです。

 

私が小さい頃、障害の為自力で立つことが出来ず、ロボットの様な金属の補助具を両足に付けている方が参拝に来られていました。その頃は障害者という認識はなく、今にしてみれば申し訳ないことですが、変わってるなあという風に奇異の目で見ていたことを思い出します。

近年至る所で障害をお持ちの方を見かけるようになりました。しかしつい何気ない視線をおくり、その行動を目で追ってしまうことも多々あります。

 

「失ったものを数えるな、残されたものを最大限生かせ」。これは“パラリンピックの父”と呼ばれる医師の言葉です。パラリンピックの精神を最も端的に表していると言われています。

今あるものを最大限生かす。この理念は、私たちの心の在り様も教えてくれている気がします。

 

雨天のパラリンピック最終日。悪天候の中で見事金メダルに輝いた道下さん。ゴールの瞬間、ガイドランナーと絆で結ばれた全盲のアスリートを祝福するかのように太陽の光が差し込みました。

表彰式で自分より先にガイドランナーに金メダルと掛けようとしたその優しさに、またまたハートを射抜かれてしまいました。

 

東京オリンピックで二連覇を達成した大野将平選手は、「我々アスリートの姿を見てなにか心が動く瞬間があれば光栄に思います」と語られました。東京オリパラはその言葉通り、感謝と絆、そして恩返しを胸にしたアスリートたちの姿に心揺さぶられ、涙腺ゆるみっぱなしの有難い時間でした。

 

皆さんはどんなことをお感じになられましたか?

 

 

(ヨーグルトマン)